財務分析 第1問 問8 費用収益対応の原則に関する問題
費用収益対応の原則に関する記述のうち、正しいものはどれですか。
- 費用収益対応の原則とは、発生した費用に対応する収益を計上する原則である。
- 売上高と売上原価の対応関係は、直接的対応と呼ばれる。
- 繰延資産は、財貨または役務の消費に先行して費用や損失が計上される結果として計上される資産である。
- 損失は、売上高の獲得に貢献しているとみなされている。
解答
解答:B
- 費用収益対応の原則とは、実現した収益に対応するものが費用とされる原則である。
- 正しい。
- 繰延資産は支払や支出もその消費も完了した発生費用のうち将来の収益獲得に貢献する可能性のある項目について 将来の収益に対応させるために資産として繰述べるもの。
- 損失とは、収益の獲得になんら貢献しなかった費用のこと。
発生主義(accrual basis)と現金主義(cash basis)
損益計算書の構成要素は収益と費用であり、この2つの要素の差額が利益となる。費用を認識する考え方には大きく2つある。■発生主義(accrual basis)・・・財貨・役務の消費という事実に基づいて費用を認識する考え方。
■現金主義(cash basis)・・・現金の支出に基づいて費用を計上する考え方。
費用収益対応の原則
発生した費用のうち、実現した収益に対応するものが当期の費用となり、発生した費用から当期の費用を切り出すための考え方が 費用収益対応の原則である。■直接的対応・・・売上高と売上原価のように直接的な関係
■間接的対応・・・販売費や一般管理費のような売上高と直接的な対応関係にはないが、なんらかの関連で売上高の獲得に貢献していると推測される関係
引当金繰入額
将来の費用を現在の収益に対応させるものである。将来の費用を見積もって当期の損益計算に含めるとともに、他方で当該金額を引当金として負債に計上する。当該引当金を計上するのに必要な要件は下記4つである。
①将来の特定の費用または損失
②その発生が当期以前の事象に起因
③発生の可能性が高い
④その金額を合理的に見積もることができる
企業会計原則で例示している引当金繰入額は下記の11項目
①製品保証引当金
②売上割戻引当金
③返品調整引当金
④賞与引当金
⑤工事補修引当金
⑥退職給与引当金
⑦修繕引当金
⑧特別修繕引当金
⑨債務保証損失引当金
⑩損害保証損失引当金
⑪貸倒引当金
繰延資産
発生費用の中には将来の収益獲得に貢献する可能性を秘めた研究開発費や広告宣伝費のようなものもある。そういった項目については、 いったん資産として繰延べ将来の収益に対応させるべきという考えもある。企業会計規則では、次の要件を満たす場合に繰越資産として計上できるとされている。
①代価の支払いが完了、または支払い義務が確定
②対応する役務の提供を受けた
③その効果が将来にわたって実現すると期待される費用
上記項目を満たす場合はその支出額を全額当期の費用として計上する方法か、繰延資産としていったん資産に計上する方法のいずれかを 選択することが可能である。
実務対応報告19号によると下記5項目が繰越資産として限定列挙されている。
①株式交付費
②社債発行費等(新株予約権の発行に係わる費用を含む。)
③創立費
④開業費
⑤開発費