証券分析 第3問 Ⅲ-問4 残余利益モデルによる理論株価に関する問題
図表1は、A社の1株当たり指標と自己資本を示すものである。投資家の要求収益率は15%で一定、サステイナブル成長率を10%とする。 ROE,配当性向はそれぞれ一定とする。A社は負債を持たず配当支払い以外の資本取引を行わない。配当は期末に支払われる。
第1期 | 第2期 | 第3期 | |
---|---|---|---|
1株あたり利益(EPS) | 50 | 55 | 問2 |
1株あたり配当(DPS) | 30 | 33 | 問2 |
1株あたり留保利益 | 20 | 22 | ‐ |
1株あたり残余利益 | 20 | 22 | 問5 |
1株あたり期首自己資本(BPS) | 200 | 220 | 問5 |
残余利益モデルによる理論株価による第2期期首のA社株式の理論株価はいくらですか。
- 600.0円
- 660.0円
- 666.7円
- 781.2円
- 806.3円
解答
解答:B
理論株価=自己資本+今期残余利益/(要求収益率-サステイナブル成長率)
であるから、220+22/(0.15-0.1)=55+22×0.05=660円
残余利益モデル
企業のある期の自己資本は前期の自己資本にその期の内部留保額(純利益から配当を引いた金額)を加えた金額になるという
「クリーンサープラス関係」から企業価値を導くモデル
IV0・・・現時点における株式の1株あたり内在価値(理論価格)
Re・・・株主資本コスト
DIVt・・・t期の配当
Bt・・・t期の自己資本
Et・・・t期の純利益
Bt=Bt-1 + (Et - Dt)=前年度自己資本+(今期純利益 - 今期配当額)
残余利益モデルの株式内在価値は下記式で求められる。
IV0 | = | B0 | + | ∞ Σ t=1 |
Et - kBt-1 (1+Re)t |
株式の理論価値=自己資本+残余利益モデルの割引現在価値合計
残余利益=純利益 - 期首自己資本×株式の要求収益率
配当性向が一定の場合の残余利益モデル算出式
配当性向が一定の場合、自己資本はサステイナブル成長率gで成長するので、下記式で理論価格が算出できる。g・・・サステイナブル成長率
IV0 = B0 | + | (ROE - Re)B0 Re - g |
理論株価=自己資本+今期残余利益/(要求収益率-サステイナブル成長率)
となる。
サステイナブル成長率=ROE×内部留保率=ROE×(1-配当性向)