証券分析 第3問 Ⅱ-問3 株式の理論株価に関する問題
図表1は、X社、Y社、Z社に関する配当落ち直後のデータである。3社とも有利子負債はなく、発行済株式数は1億株である。 配当はサステイナブル成長率で永続的に成長すると仮定する。株式の均衡期待収益率(株主の要求期待収益率)は、CAPMに 従って形成される。リスクフリー・レートは2%、マーケット・リスクプレミアムは5%である。理論株価の算出には配当割引モデル を用いる。
X社 | Y社 | Z社 | |
---|---|---|---|
自己資本簿価(億円) | 1,000 | 1,000 | 1,000 |
ROE | 10% | 10% | 10% |
サステイナブル成長率 | ゼロ | 4% | ☆注2 |
均衡期待収益率 | 10% | ☆注1 | 10% |
Y社株式の均衡期待収益率が8%のとき、Y社株式の理論株価はいくらですか。
- 1,000円
- 1,500円
- 1,670円
- 2,000円
- 2,500円
解答
解答:B
サステイナブル成長率の算出式を用いる。今回のY社の配当額を求める。
今期の当期純利益はROEが10%、自己資本が1000億円なので、1000億円×10%=100億円となる。
サステイナブル成長率が4%、ROEが10%であるから、配当性向は4%=10%×(1-配当性向)より、
配当性向=1-0.4=0.6=60%となり、配当額は60億円と求まる。
よって、理論株価は60/(0.08-0.04)=1500となる。
サステイナブル成長率モデル
毎期の配当が一定率で成長するモデル
IV0・・・現時点における株式の1株あたり内在価値(理論価格)
Re・・・株主資本コスト
DIV1・・・1期間末に支払われる1株当たり配当
g・・・サステイナブル成長率
IV0=DIV1/(Re - g)
サステイナブル成長率=ROE×内部留保率=ROE×(1-配当性向)