経済用語

主要な経済用語について説明する。

フィッシャー方程式【マクロ】

名目金利=実質金利+期待インフレ率

経済成長率【マクロ】

経済成長率は技術進歩と資本蓄積と労働人口成長によって決まる。
経済成長率=技術進歩率+資本分配率×資本蓄積率+(1-資本分配率)×労働人口成長率
※資本分配率+労働分配率=1

信用創造理論【マクロ】

預金を法定準備率分を除いてまた貸出を行うプロセスを繰返すことで当初の預金(本源的預金)よりも 多くの信用が創造されること。預金総額は下記式で算出できる。
預金総額=本源的預金/法定準備率

乗数効果【マクロ】

完全雇用GDPを下回る経済、つまりデフレギャップが存在する経済において独立需要の変化が均衡GDPをどれだけ変化させるかを表す。ある需要要因を1単位 増やした場合にGDPが何倍増えるかを表す数値
■投資乗数・・・1/1-限界消費性向
■政府支出乗数・・・1/1-限界消費性向×(1-限界租税性向)
■海外部門を考慮した乗数・・・1/1-限界消費性向+限界輸入性向

貯蓄投資バランス(ISバランス)【マクロ】

経済活動の主体としては、政府、企業、家計があり、その相手として海外経済がある。よって、
家計(貯蓄-投資)+企業(貯蓄-投資)+政府の(貯蓄-投資)=海外の(投資-貯蓄)となる。
※輸出は海外部門の投資、輸入は海外部門の貯蓄となる。

国民経済計算【マクロ】

国民経済計算についてまとめると下記の表の通りとなる。
※市場価格表示から純間接税(税金‐補助金)を引いたものが要素費用表示となる。

三面等価の原則【マクロ】

国民経済計算において、生産、支出、所得が等しい値となること。

短期金融市場【マクロ】

■インターバンク市場・・・参加者が金融機関(銀行、生損保、証券)のみ。コール市場とJOM市場がある。
■オープン市場・・・一般事業法人、地方公共団体も参加可能。債券現先、債券レポ、CD、CP、国庫短期証券(T-Bill)市場がある。

購買力平価説【マクロ】

為替レートは、通貨の購買力が等しくなるように決まるという考え方。
2国間の物価指数の変化により為替レートが変化すると考える。
現在円対国通貨購買力平価レート 基準時点円対通貨為替レート×
基準時点対国物価指数
現在対国物価指数
×
現在日本物価指数
基準時点日本物価指数

実質為替レート【マクロ】

日本ドル実質為替レート=邦貨建円ドル名目為替レート×米国物価指数/日本の物価指数
※120円/ドル=100円/ドル×120/100 ※米国物価指数120、日本の物価指数100、名目為替レート100円/ドルの場合

金利平価説【マクロ】

■カバーなし金利平価・・・直物取引だけの世界を考え、低い金利の通貨を買って運用しようとするので、低い金利の通貨が高くなる。
カバーなしの場合は、低い金利の通貨が買われるがいくらまで買われるかというと金利の高い通貨で運用しても低い通貨で運用しても同じコストと なるところまで買われる。来期の為替レートをSt+1、現在のレートを100円/ドル、円金利を0.02、ドル金利を0.05とすると、
St+1=100×1.02/1.05=97.14円/ドルとなる。この値段だとドルで運用しても、円で運用しても、1年後には同じ価値102円となるのでここまでしか円は買われない。
■カバーあり金利平価・・・先物取引もある世界を考え、円キャリートレードのような金利の低い通貨を売って、金利の高い通貨を 買う動きが見られるため、金利の高い通貨が高くなる。

国際収支【マクロ】

■経常収支・・・貿易・サービス収支、所得収支、経常移転収支からなる。
・貿易・サービス収支・・・財、サービスの輸出をプラス、輸入をマイナスとして計上
・所得収支・・・海外からの利子配当の受取り、雇用者報酬の受取りをプラスとして計上、支払をマイナスとして計上
・経常移転収支・・・国際的な贈与などの対価のない取引。日本から途上国への支援等でお金を出した場合はマイナスとして計上
■資本収支・・・日本の対外資産や負債の増減。投資収支、その他資本収支からなる。対外資産の増加、負債の減少はマイナス、 対外資産の減少、負債の増加はプラスとなる。
※輸出をプラス計上すると、代金受け取りによる対外資産の増加は輸出との見合勘定でるので足してゼロとなるようにマイナス計上する。
・投資収支・・・直接投資、証券投資、金融派生商品等。
経常収支+資本収支+外貨準備増減+誤差脱漏=0

経常収支決定のアブソープション・アプローチ

経常収支は国内の生産から支出を引いた差額に等しい。
BC=Y-(C+I+G) BC…経常収支、Y…GDP、C…消費、I…投資、G…政府支出

貯蓄・投資バランスと経常収支

経常収支は一国の貯蓄と投資の差額に等しい。
Y=C+I+G+BCの式の両辺からT(税収)とC(消費)を引くと、Y-T-C=I+(G-T)+BCとなる。これの左辺がS(民間貯蓄)であるから
BC=S-I-(G-T)となり、経常収支は民間貯蓄から民間投資と財政赤字を引いたものとなる。

完全競争市場【ミクロ】

■価格受容者(プライス・テイカー)・・・市場での価格を所与として行動する主体
■ワルラスの調整過程・・・完全競争市場における価格調整過程。需要が供給を上回れば価格は上昇し、供給が需要を上回れば価格は下落する。
■消費者余剰・・・消費者の利得。市場価格-需要価格。※需要価格・・・その財に対して支払ってもよい最大の貨幣額
■生産者余剰・・・生産者の利得。市場価格-供給価格。※供給価格・・・その財を生産者が供給するために要求する最低の貨幣額
■総余剰・・・消費者余剰+生産者余剰

市場の失敗【ミクロ】

■市場の失敗・・・市場機能がうまく機能せず、適切な財の生産・供給ができない状況。下記の三要因がある。
・外部性・・・市場での取引を通さず直接他の経済主体に効果を及ぼす。企業が汚水を流して近隣住民に迷惑かける等。
・公共財・・・「消費の非競合性」、「消費の非排除性」をもつ財。
※消費の非競合性・・・誰かが消費しても他の人も同様に消費できる。
※消費の非排除性・・・対価を支払わない人達の消費を排除するには大きな費用がかかる。例:税金を払わない人に道路を使用させない等。
・費用逓減産業・・・固定費用がきわめて大きな産業。生産量の増加とともに平均費用がさがる。例:鉄道会社等。

情報の経済額【ミクロ】

モラルハザード:一方が他方の行動について限られた情報しか持てないことから生じる問題。

■プリンシパル・エージェント問題(エージェンシー問題)・・・経営者(エージェント)が必ずしもプリンシパル(株主)にとって利益となる 行動をとらないこと。対応策として、モニタリングやインセンティブ契約がある。

逆選択:一方が他方より少ない情報しか持てないことから生じる問題。有名な話にアカロフのレモンがある。

■投資家が該当の株式に値段が妥当かわからない等の逆選択の問題が発生する。対応策としてシグナリング(IR情報を発行して 投資家に情報を伝える)やスクリーニング(情報劣位にある方が情報優位の方から情報を求める行為)がある。