財務分析 第3問 Ⅰ-問1 貸借対象表から企業結合の対価を求める問題

Ⅰ   X社(決算日:3月31日)は20X1年12月31日に、新規に発行した自社の株式6000株と交換に、Y社(決算日:12月31日)の発行済株式を100%取得して、 Y社を子会社とした。この企業結合は「取得」と判定された。20X1年12月31日時点のY社の貸借対照表は以下のとおりである。また、企業結合にあたってX社 が行った調査の結果およびX社株式の時価は[資料]のとおりであった。

Y社貸借対照表 (単位:千円)
資産
 現金預金 1,000
 売上債権 6,000
 棚卸資産 3,500
 固定資産 5,000
  資産合計 15,500
負債
 仕入債務 4,500
 借入金 5,500
  負債合計 10,000
純資産
 払込資本 2,500
 留保利益 3,000
  純資産合計 5,500
  資産合計 15,500
[資料]
①Y社が保有する土地と建物の時価を調査した結果、20X1年12月31日時点の固定資産の時価合計は6,500千円となった。その他の資産と 負債については簿価と時価が等しかった。
②X社株式の時価
20X1年 4月1日  1,200円
20X1年 12月31日 1,400円
20X2年 3月31日  1,500円

X社がY社を取得するために発行した自社の株式の評価額(企業結合の対価)はいくらですか。


  • 5,500千円
  • 7,200千円
  • 8,100千円
  • 8,400千円
  • 9,000千円
  •    

解答

解答:D
この企業結合はパーチェス法で会計処理されるため、対価としてのX社株式は時価で評価される。 また、2008年12月に公表された企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」では、対価として 発行される株式の時価は、原則として、企業結合日における時価を基礎として算定することが求められ ている。従って、この企業結合における対価としてのX社株式の評価額は、以下のように計算される。
対価としてのX社株式の時価総額=6000株×1400円=8400千円

企業結合会計:パーチェス法と持分プーリング法

企業結合によって、企業が他の企業の支配を獲得するときには、その実態を「取得」とみて、パーチェス法を適用し、他方、いずれの 企業も他の企業の支配を獲得したとはいえないときには、その実態を「持分の結合」とみて、持分プーリング法を適用する。

パーチェス法

発行株式の時価総額を資本の増加額とする。

持分プーリング法

被合併会社の純資産簿価を資本の増加額とする。