財務分析 第1問 問9 有形固定資産の減価償却に関する問題

有形固定資産の減価償却に関する記述のうち、正しくないものはどれですか。

  • 日本では、減価償却方法として定額法と定率法を併用する企業が最も多い。
  • 定額法による減価償却費の計算には、取得価額、残存価額、耐用年数が必要である。
  • 有形固定資産への追加支出は、全て資本的支出とみなされ、有形固定資産の価額に追加され減価償却費の対象となる。
  • 定額法による減価償却費の計算には、取得原価から減価償却累計額を差し引いた額に償却率を乗じる手続きが必要となる。
  •    

解答

解答:C

  • 正しい。
  • 正しい。
  • 追加支出のうち改良とみなされれば資本的支出として当該支出は有形固定資産の価額に加算されるが、単なる維持補修の費用は収益的支出とみなされ、当期の費用として処理される。
  • 正しい。
  •    

有形固定資産の減価償却

有形固定資産

1年以上使用することを目的に所有され、物理的形態のある財のこと。固定資産はタイプにより下記の3つに分けられる。

①償却資産・・・使用や時の経過により次第に価値が減少するもの
   例:建物、構築物、機械装置、船舶、車両運搬器具、工具器具備品
②減耗性資産・・・採掘、採取、伐採などにより次第に価値が減少するもの
   例:鉱山、油井、山林
③非償却資産・・・価値の減少が見られないもの
   例:土地、建設仮勘定
減価償却の対象となるのは上記の①のみである。②については当該資源の見積数量をベースに消費した部分を償却する減耗償却という 手続きが行われる。

有形固定資産の取得原価

有形固定資産の減価償却において取得原価は原価配分の基礎となるものでその決定は重要な問題である。
取得形態により取得原価の考え方は異なる。
①購入・・・購入代価に付随費用を加えたものが取得原価となる。付随費用とは、引取運賃、荷役費、買入手数料等。
②自家建設・・・適正な原価計算基準に従って計算された製造原価をもって取得原価とし、借入金に対する建設中の利子については その対応関係が明確な場合のみ取得原価に参入可能である。
③現物出資・・・出資者に対して交付された株式の発行価額をもって取得原価とする。

有形固定資産に対する追加支出

■資本的支出・・・有形固定資産の取得原価を構成する支出のこと、取得原価に算入され次期以降で原価配分される。
■収益的支出・・・定期的な補修や修理といった単なる現状維持にとどまるような支出、支出年度の費用として処理される。

減価償却の計算

減価償却を実施するためには、取得価額、耐用年数、残存価額の3要素が必要となる。計算方法は定額法、定率法、級数法、生産高比例法、取替法がある。
①定額法・・・有形固定資産の耐用年数にわたり、毎期均等額の減価償却費を計上する方法。
減価償却費=(取得原価 - 残存価額)/耐用年数
②定率法・・・有形固定資産の期首の未償却残高(簿価)に償却率を掛けて減価償却費を計算する方法。
減価償却費=(取得原価 - 減価償却累計額) × 償却率