財務分析 第1問 問16 配当割引モデルに関する問題
配当割引モデルの適用に関する記述のうち、正しくないものはどれですか。
- 企業価値評価額に占めるターミナル・バリューの割合は、他のモデルに比べて大変少ない。
- 将来の配当を未来永劫にわたり予測することは困難である。
- 配当を長期に渡って一切支払わない企業には適用が困難である。
- キャピタルゲインに対する税率がインカムゲインに対する税率よりも低い場合、長期渡り配当性向が低く抑えられ、企業価値を過小評価してしまう。
解答
解答:A
- ターミナル・バリューの割合が少ないのは残余利益モデルである。
- 正しい。
- 正しい。
- 正しい。
配当割引モデル(DDM)
株主にとっての企業価値は株主が将来受取る配当の現在価値の総和に等しいという考えに基づいて企業の価値を算出する考え方。※株主がその株式に投資することによって獲得することを期待する収益率
上記と仮定した場合、下記(1)式により現時点における株式の1株あたり内在価値(IV0)が表される。
IV0=(DIV1 / 1+Re)+(P1/1+Re) ・・・(1)
P1は1期間末時点における当株式の価値であるが、この時点で当株式を購入する投資家にとっての価値と同等なので、P1 は2期間末に支払われる配当(DIV2)と2期間末に株式を売却することによって得られる収入(P2)により下記のとおり表される。
P1=(DIV2/1+Re) + (P2/1+Re) ・・・(2)
このP1を式(1)に代入すると
IV0=(DIV1/1+Re) + (DIV2/(1+Re)2) + (P2/(1+Re)2) ・・・(3)
同様の作業を繰り返すことで、
IV0 | = | DIV1 1+Re |
+ | DIV2 (1+Re)2 |
+ | DIV3 (1+Re)3 |
+ | ・・・ | = | ∞ Σ n=1 |
DIVn (1+Re)n |
・・・(4) |
ただし、遠い将来の株価の現在価値 | P∞ (1+Re)∞ |
はゼロに収束すると仮定する。 |