財務分析 第1問 問11 リース会計に関する問題

リース会計に関する記述のうち、正しいものはどれですか。

  • ファイナンス・リースと取引はフルペイアウトを要件とするため、その判定は、リース期間がリース物件の経済的耐用年数の概ね90%以上であるかどうかによる。
  • オペレーティング・リース取引であっても解約不能なものは、リース料総額を負債に計上する。
  • オペレーティング・リース取引に該当するか否かは、もっぱらリース料総額の現在価値とリース物件の見積購入価額の比較によって決定される。
  • あるリース取引をファイナンス・リース取引として会計処理すると、オペレーティング・リース取引として処理した場合に比べて、リース期間前半の費用は多くなる。
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解答

解答:D

  • ファイナンス・リース取引の判定の1つである経済的耐用年数基準は、リース期間がリース物件の経済的耐用年数のおおむね75%以上であるかどうかによる。
  • オペレーティング・リース取引であれば、負債に計上されない。
  • オペレーティング・リース取引に該当するか否かは、現在価値基準と経済的耐用年数基準のどちらも満たさないかどうかによって決定される。
  • 正しい。
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リース取引

特定の物件の所有者たる貸手(lessor:レッサー)が当該物件の借手(lessee:レッシー)に対し、合意された期間にわたり、これを使用収益する権利を与え、借手は合意された使用料を貸手に支払う取引。

ファイナンス・リース取引

ファイナンス・リース取引は下記3つの要件を満たす取引。
①リース期間の中途において当該契約を解除することができないか、またはそれに準ずるリース取引(解約に対して相当の違約金がとられる取引)。
②借手が当該契約に基づき使用するリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができる。
③借手が当該リース物件の使用に伴い生じるコストを実質的に負担する。

上記の②と③の要件も満たす取引をフルペイアウトという。
ファイナンス・リース取引とは「解約不能」と「フルペイアウト」と要件とするリース取引である。

ファイナンス・リース取引を判定する指針として「リース取引適用指針」では下記2つのいずれかを満たす場合としている。
現在価値基準:解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値が、当該リース物件を借手が現金で購入するものと 仮定した場合の合理的見積金額のおおむね90%以上であること。

経済的耐用年数基準:解約不能のリース期間が、当該リース物件の経済的耐用年数のおおむね75%以上であること。

オペレーティング・リース取引

ファイナンス・リース取引に該当しないリース取引をオペレーティング・リース取引という。

ファイナンス・リース取引の会計処理

原則として通常の売買取引と同様の会計処理を行う必要があるため、当該取引に係わるリース物件の取得価額を算定する必要がある。
取得価額の算定方法にはリース料総額からこれに含まれている利益相当額の合理的見積額を控除する方法と控除しない方法がある。
また、ファイナンス・リース取引はリース物件の所有権が借手に移転する(所有権移転ファイナンス・リース取引)と、それ以外(所有権移転外ファイナンス・リース取引)に分類される。
所有権の移転が認められる場合として、「リース取引適用指針」では下記の3点いずれかに該当することとしている。
①所有権移転条項付のリース取引
②割安購入選択権条項付のリース取引
③借手の用途に合わせた特別仕様のリース物件で、再リースや売却の困難なもの