証券分析 第6問 Ⅰ-問4CAPMに関する問題

CAPMに関する次の記述のうち、正しくないものはどれですか。

  • CAPMにおいては、市場は分散投資によって削減できるリスクに対して対価を要求しない。
  • ポートフォリオのベータは、ポートフォリオに組み入れられる各証券のベータを、銘柄別の投資比率で加重平均した値になる。
  • ベータが負の証券があれば、それに市場が要求する期待リターンはリスクフリーレートよりも小さくなる。
  • 貸出利子率と貸入利子率が異なるゼロベータCAPMでは、市場の均衡状態においてマーケットポートフォリオは効率的ポートフォリオでなくなる。

解答

解答:D

ゼロベータCAPMでも市場の均衡状態においてマーケットポートフォリオは効率的なポートフォリオである。

■CAPM(Capital Asset Priceing Model:資本資産評価モデル)
CAPM第一定理・・・安全資産が存在するとき、市場の均衡状態においてマーケットポートフォリオは効率的ポートフォリオである。
ゼロベータCAPM・・・安全資産のあるなしに係らず、市場の均衡状態においてマーケットポートフォリオは効率的ポートフォリオである。
CAPM第二定理・・・証券iのリスクプレミアムは右の式で求められる。 μi - rf = (μM - rf)βi
μi・・・任意の証券iの期待リターン
rf・・・リスクフリーレート
μM・・・マーケットポートフォリオの期待リターン
βi・・・任意の証券iのベータ


CAPMの第二定理の式からβiが負の値であった場合、(μM - rf)の値は正であるから、右辺はマイナスとなる。よってμiはrfより小さい値となる。
※μM - rfこの値はマーケットポートフォリオのリスクプレミアムであるため、マーケットが成立している間はこの値は正となる。

■リスクプレミアム・・・ある証券(ポートフォリオ)の期待値μiとリスクフリーレートrfの差。市場参加者が確実に得られる利益の代わりに、 不確実な未来の利益を選択するための対価として要求する値。