証券分析 第5問 Ⅰ-問4株式オプション価格に関する問題

現在の価格が100円で、1年後の原資産価格は105円か97円のいずれかになると予想され、リスクフリー・レートが1%であった。 無裁定条件が成立する世界で、行使価格100円のコールオプション価格はいくらですか。

  • 0.00円
  • 1.25円
  • 2.48円
  • 3.09円
  • 4.95円

解答

解答:C

まずはリスク中立確率pを求める。
原資産価格の算出式から、100=(105×p+(1-p)×97)/1+0.01
これをといて、p=0.5
C=(Cu×p+(1-p)×Cd)/1+0.01=2.5/1.01=2.475248
よって回答はCとなる。
詳細な算出式は下記参照

オプションの二項モデル

オプション価格のモデルとして、現時点と次の時点の二時点しかなく、原資産である株式 の価格は上昇するか下落するかのどちらかいずれかしか起こらないと仮定して価格を算出するモデル。

具体例

原資産の価格が現在1000円で、次の時点で上昇した場合は1200円(20%上昇)、下落した場合は 909円(10%下落)となる。さらに、金利を1%(年率換算しない)を1%とした場合の コールオプションの価格Cは、現時点でいくらを求める。
このとき原資産をA株、無リスク資産をB円保有していたとすると、
株価が上昇した時:Cu=1200×A+B×1.01(円)
株価が下落した時:Cd=909 ×A+B×1.01(円)
となる。株価が上昇した時のオプションの価値は200円、下落したときは0円なので
1200×A+B×1.01(円)= 200(円)
909 ×A+B×1.01(円)=0(円)
これを解いて、A=0.687285、B=-618.5567となる。
これはつまり、原株式を0.687285株保有し、無リスク資産を618.5567円空売りしたポートフォリオは、 株価が上昇すれば200円の価値、下落すれば0円の価値とコールオプションの価値と等しくなる。 よって、このポートフォリオの現在価値もコールオプションの現在価値と等しくなるはずなので、 このポートフォリオの現在の価値は1000×A+B=1000×0.687285-618.5567=68.7283(円)となる。

オプション価格算出式

現在の株価がS円、株価が上昇するとu×S円、下落するとd×S円となるとし、Eを行使価格、無リスク金利をrとすると
株価上昇のとき:Cu=MAX(u×S-E,0)
株価下落のとき:Cd=MAX(d×S-E,0)
オプション価格Cは下記算出式となる。
 オプション価格:C   =   p×Cu +(1-p)×Cd
 1+r 
 現資産価格:S   =   p×u×S +(1-p)×d×S
 1+r 
上記式のpはリスク中立確率と呼ばれ下記式で表される。
 リスク中立確率:p   =   1+r-d 
 u-d