証券分析 第4問 Ⅰ-問3 利回り曲線に関する問題

利回り曲線に関する次の記述のうち、正しくないものはどれですか。

  • 純イールドが多い理由の1つは、長期債投資の方が短期債投資よりリスクが高いので、高いリスクプレミアムを要求するためと考えられる。
  • 逆イールドの背景には、金融引締め政策の実行により短期金利は急速に上昇するが、高金利は長期間続かないと市場が判断して、長期金利はそれほど 上がらないというものが考えられる。
  • 中期の金利が長期や短期と比べて高いこぶ状のイールドカーブは、純イールドから逆イールドへ移行する際に見られ、市場の効率性に反する。
  • 純期待仮説では、現在の長期金利に含まれているフォワードレートは将来の短期金利の期待値と等しいと説明するので、右上がりの利回り曲線には 将来の短期金利上昇の予想が含まれていると考える。

解答


解答:C

利回り曲線

■利回り曲線(イールド・カーブ:yield curve)・・・ある時点の金利と期間の関係を、横軸に期間、縦軸に金利をとってグラフにしたもの。
■スポット・レート・カーブ・・・スポットレートの利回り曲線。スポットレートカーブがわかると理想的だが、スポットレートカーブを推定する方法は 様々あり難しい。
■スワップ・レート・カーブ・・・スワップ(変動金利と固定金利を交換する際の固定金利)レートから作られる利回り曲線

利回り曲線の形状

■純イールド・・・右上がりの利回り曲線。純イールドとなる頻度が高い理由として短期投資より長期投資の方がリスクが高いためリスクプレミアムがかかるためと考えられる。 また、将来短期金利が上昇するという予想も含まれている。
■逆イールド・・・右下がりの利回り曲線。金融当局が金融引き締め政策を実施した結果、短期金利は急速に上昇するが長期に続かないと考えられるため、長期金利はそれほど 上昇しない等の理由が考えられる。
■純イールドと逆イールド間の移行中間・・・純イールドから逆イールド、または逆イールドから純イールドへの移行の中間において中期が最も低く、短期、長期が高い 形やその逆の中期が最も高いこぶ状の計上を示す形もある。

金利の期間構造に関する伝統的な仮説

■純粋期待仮説・・長期金利というのは、短期金利が将来どのようになるのかという予想のみを純粋に反映しているという仮説。
■流動性プレミアム仮説・・・短期債と長期債では長期債の方が流動性が小さい。よって、その分長期債の方がリスクプレミアムが発生し、金利が高くなるという仮説。
■市場分断仮説・・・短期資金市場の参加者と長期資金市場の参加者は異なるため、期間の異なる資金市場ではそれぞれの需給で金利が決まるという仮説。