証券分析 第3問 Ⅰ-問3 ゼロ成長配当割引モデルに関する問題

ゼロ成長配当割引モデルについて、現在の理論価格が500円であるとき、1年後の理論株価の期待値はいくらですか。 ただし、リスクフリー・レートは2.0%、株式の均衡期待収益率は5.0%とする。

  • 476円
  • 490円
  • 500円
  • 510円
  • 525円

解答

解答:C

0成長率配当割引モデルでは常に配当額が一定であるため、理論株価は変わらない。
実際に計算してみても、配当額=500×0.05=25円
理論株価=25/0.05=500円

配当割引モデル(DDM)

株主にとっての企業価値は株主が将来受取る配当の現在価値の総和に等しいという考えに基づいて企業の価値を算出する考え方。

DIV1・・・1期間末に支払われる1株当たり配当
P1・・・1期間末に該当株式を売却して得られる収入
IV0・・・現時点における株式の1株あたり内在価値
Re・・・株主資本コスト

※株主がその株式に投資することによって獲得することを期待する収益率
上記と仮定した場合、下記(1)式により現時点における株式の1株あたり内在価値(IV0)が表される。

IV0=(DIV1 / 1+Re)+(P1/1+Re) ・・・(1)
P1は1期間末時点における当株式の価値であるが、この時点で当株式を購入する投資家にとっての価値と同等なので、P1 は2期間末に支払われる配当(DIV2)と2期間末に株式を売却することによって得られる収入(P2)により下記のとおり表される。
P1=(DIV2/1+Re) + (P2/1+Re) ・・・(2)
このP1を式(1)に代入すると
IV0=(DIV1/1+Re) + (DIV2/(1+Re)2) + (P2/(1+Re)2) ・・・(3)
同様の作業を繰り返すことで、

 IV0   =   DIV1 
 1+Re 
 DIV2 
 (1+Re)2 
 DIV3 
 (1+Re)3 
・・・  = 
Σ
n=1
 DIVn 
 (1+Re)n 
・・・(4)
ただし、遠い将来の株価の現在価値  P 
 (1+Re) 
はゼロに収束すると仮定する。
上記の式(4)が意味するところは、株主にとっての企業価値は株主が将来受取る配当の現在価値の総和に等しいということ であり、これが配当割引モデル(Dividend Discount Model:DDM)である。

ターミナルバリュー

事業や企業の生み出す将来のキャッシュフローを試算してその価値を計算する際に、個別にキャッシュフローの試算が できない期間(例えば5年目以降)以降について算定された永続価値のこと。

ゼロ成長率モデル

毎期の配当額を一定額と仮定するモデル。
IV0 = DIV1/Re

サステイナブル成長モデル

配当の成長率を一定とするモデル。
g・・・配当の成長率(一定)
IV0 = DIV1/(Re - g)