証券分析 第2問 Ⅲ-問1 年度間の財務諸表分析に関する問題



図表1によるU社のX1年度とX5年度の比較分析として、正しくないものはどれですか。

  • X1年度、X5年度とも、現金及び預金を考慮すると(実質)無借金である。
  • フリーキャッシュフローの黒字が拡大している。
  • 借入金を活用した積極的な企業買収により事業を拡大している。
  • X1年度、X5年度とも、大きな特別損益の発生はない。

解答



解答:C

  • 正しい。X1年度は有利子負債合計が83億円。現金及び現金同等物が100億円。X5年度は有利子負債合計が51億円。現金及び 現金同等物が191億円。どちらの年度も実質無借金である。
  • 正しい。X1年度のフリーキャッシュフローは61億円。X5年度のフリーキャッシュフローは93億円。よって、フリーキャッシュフローは 拡大している。
  • 有利子負債の合計が83億円から51億円へ減少しているため借入金は拡大していない。さらに、無形固定資産の額も それほど変わっておらず、企業買収時に想定されるのれん計上が確認されない。純資産=自己資本と少数株主も存在せず、積極的な企業買収により 事業を拡大した形跡はない。
  • 正しい。計上利益に占める当期純利益の比率がX1年度は51%、X5年度は53%であり、大きな特別損失の発生は考えにくい。 経常利益と営業キャッシュフロー内の税前当期純利益の差異も、X1年度は0、X5年度は-2億円と小さく、大きな特別損益の発生はない。


■実質無借金・・・現金及び預金が有利子負債合計を上回る場合。

■フリーキャッシュフロー・・・営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー