経済 第4問  Ⅲ-問2 金融緩和政策と為替変動

金融緩和政策が実質金利を通じて為替レートに影響するルートのうち、正しくないものはどれですか。

  • 実質金利が資本移動を通じて及ぼすルート。
  • 実質金利が内需を変化させ、経常収支を通じて及ぼすルート。
  • 実質金利が内需を変化させ、累積経常収支さらにはリスクプレミアムを通じて及ぼすルート。
  • 実質金利が直接に輸出と輸入を通じて及ぼすルート。

解答

解答:D
輸出と輸入は自国財と外国財の相対価格に影響を受けるが、直接には実質金利に影響を受けない。

■マクロ経済政策と為替レート変動
為替レート決定理論によれば為替レートは下記4つの要因により決定されている。
1.内外の相対的な物価水準で決定される購買力平価要因
2.内外の実質金利差要因
3.各国の累積経常収支不均衡などで決まるリスク・プレミアム要因
4.期待要因

金融緩和政策と財政政策はこれらの要因に働きかけることで為替レートに影響を与える。

■金融緩和政策・・・短期市場金利が0.5%以上と短期市場金利がゼロないしゼロに近い値で効果が分かれる。
金融緩和政策が自国の通貨を下落させるルートは下記フロー図の①、②、③の3つのルートがあるが、短期市場金利がゼロないし ゼロに近い場合は、名目金利がこれ以上は低下しないので、「名目金利低下」による効果がないため、③の期待インフレ率上昇を経由したルート のみの効果となる。



■財政政策・・・短期市場金利が0.5%以上とゼロに近い値で効果が分かれる。短期市場金利が0.5%以上の場合は、物価がほぼ一定となり、 為替に与える影響も一時的なものとなる。ゼロ金利において量的緩和政策が行われている状況では、財政支出の拡大は財市場の需給を好転させ 物価上昇率を引き上げる効果がある。