経済 第2問  問Ⅰ-11 貯蓄投資差額(国民経済計算)に関する問題

日本の貯蓄投資差額(国民経済計算では「純貸出/純借入」と表記)に関する次の記述のうち、正しいものはどれですか。

  • 家計や企業等の部門が正常に経済活動を行うためには、貯蓄投資差額の5年程度の累計額はプラス(貯蓄超過)でなければならない。
  • 家計、企業、政府等の国内部門の貯蓄投資差額を合計するとゼロになる(バランスする)ように、国民経済計算は設計されている。
  • 家計、企業、政府等の国内部門以外に海外を加えたとしても、貯蓄投資差額を合計するとゼロになる(バランスする)とはかぎらない。
  • 国内の各部門の貯蓄投資差額の合計額は、海外部門の「投資-貯蓄」(海外部門の貯蓄投資差額の符号を逆にしたもの)の額に等しく

解答

解答:D

  • 必ずしもそうとは言えない。
  • 家計、企業、政府等の国内部門の貯蓄投資差額を合計すると経常収支(輸出-輸入)に等しくなる。
  • 家計、企業、政府等の国内部門以外に海外を加えたとしても、貯蓄投資差額を合計するとゼロになる。
  • 正しい。

貯蓄投資差額(貯蓄投資バランス/ISバランス)

Y = C+I+G+(EX-IM) ・・・(1)
(EX-IM)は経常収支であり、上記式に租税をTとして変形すると、
(Y-T-C)+(T-G)-I = EX-IM ・・・(2)
(Y-T-C)は民間貯蓄であり、(T-G)は政府貯蓄であるから、貯蓄をS(=民間貯蓄+政府貯蓄)とすると
S-I = EX-IM ・・・(3)
となり、経常収支は、貯蓄と投資の差額に等しいことがわかる。
貯蓄と投資を行う部門にはそれぞれ、家計、企業、政府があるため、下記のように記載できる。
(家計貯蓄-家計投資)+(企業貯蓄-企業投資)+(政府貯蓄-政府投資)-(輸出等-輸入等)=0